療養の手引き
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【序文】
この手引きは、紀伊ALS/PDCを患う人とその家族のために編まれた手引き書です。目次に示されていますように、概念、原因、頻度、・疫学、症候・症状、経過、診断・画像、合併症、薬物療法、リハビリテーション、介護・ケア、福祉サービスからなっています。また、さらに情報が欲しい方のための参考資料の項や診断基準も記載され、本疾患に関することが網羅されています。いずれも、この病気の療養において欠かすことのできない事項について、この病気の診療や研究に詳しい医師らにより解りやすい表現で記載されています。この疾患は、専門医以外の医師にはあまり理解されていないところもあろうかと思われます。易しい表現で書かれていますが、その内容は奥深く、神経内科医にとっても実地診療に十分に役立つ記載になっています。
本書の執筆者を中心にこの病気の研究、治療法開発研究も進められています。この病気に関しては、その原因、ひいては治療など、まだまだ解明されていかなければならないことが多数あります。
病態や原因が明らかにされ、進行を止める治療法が開発される日が来ることを祈りつつ、この手引書をお届けします。ケアや介護にぜひ活用して頂きたいと思います。
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患政策研究事業)
「神経変性疾患領域における基盤的調査研究班」
研究代表者 中島 健二
このたび、紀伊ALS/PDC研究班によって作成された「紀伊ALS/PDC療養の手引き」が刊行されることを、心から喜んでおります。この「手引き」は研究班のこれまでの研究成果の中で、患者さんの療養に関するものを冊子にまとめたもので、皆様の疑問に答えると共に、実際の療養生活に有用な内容が満載されています。この中では、病気の概念、症状、診断、現在できる治療やリハビリテーション、患者さんが利用できる様々な医療と福祉のサービス・制度などが、わかり易く解説されていますので、患者さんとご家族だけでなく、サポートする側である医療と福祉の関係者にも、お役に立つ内容になっています。
紀伊半島南部において、神経難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)とPDC(パーキンソン・認知症複合)の発生が多いことは、明治時代には既に知られていましたが、原因と病気の仕組みを解明し治療法と予防法を見つける研究が、本格的に始まったのは1960年代以降です。この「手引き」には、それらの研究成果が随所に反映されています。
この手引が、患者さんの療養環境の改善に寄与すると共に、その普及を通じてALS/PDCが一層多くの人々に理解されることにより、病気を克服する研究の輪が全国に広がることを期待しています。
日本医療研究開発機構・難治性疾患実用化研究事業プログラムディレクター
鈴鹿医療科学大学教授、三重大学名誉教授
葛原 茂樹
【本手引き出版に関わる事業】
AMED難治性疾患実用化研究事業
「紀伊ALS/PDC 診療ガイドラインの作製と臨床研究の推進」班
(研究開発代表者 小久保康昌)
難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業)
「神経変性疾患領域における基盤的調査研究」班
(研究代表者 中島健二)